『坊ちゃん』あらすじ 感想|夏目漱石のおすすめ小説


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夏目漱石『坊ちゃん』あらすじ 感想

あらすじ

坊ちゃんの子供時代

坊ちゃんはもと旗本の家系の江戸っ子。

親譲りの無鉄砲で子供の頃から事件ばっかり起こしています。

小学生の時同級生の一人に「いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい」と言われたのが悔しくて、学校の二階から飛び降りたことがありました。

またこんなこともありました。

親類から貰った西洋製の刃が綺麗なナイフを友達に自慢したら、刃は綺麗だけど、切れそうもないと言われてしまいました。

坊ちゃんは悔しくて、「切れぬことがあるか、何でも切ってみせる」と受けあいます。

友達はそんなら君の指を切ってみろと言った。

主人公は「なんだ指ぐらいこの通りだ」と本当に指を切ってしまいました。

ほかにも畑を荒らしたりといろいろ悪戯をやったそうです。

坊ちゃんのお父さんは坊ちゃんをちっとも可愛がってくれませんでした。

しかも坊ちゃんを見るたびに「こいつはどうせろくなものにならない」と言います。

お母さんは坊ちゃんのお兄さんばかりひいきします。

お兄さんは坊ちゃんに言わせれば「やけに色が白くって、芝居の女形の真似をするのがすきなやつだった」とか。

お母さんは、坊ちゃんは乱暴もので行く先が案じられるといつも言っていました。

お母さんが亡くなる2,3日前、坊ちゃんは台所で宙返りをしてへっついの門であばら骨を打ちました。

お母さんが怒って「お前のようなものの顔は見たくない!」と言ったので、坊ちゃんは親戚の家に泊まりに行きます。

親戚の家に泊まっているときにお母さんが亡くなったという知らせがきました。

帰ってくると坊ちゃんは、お兄さんに「お前は親不孝だ、お前の為におっかさんが死んだんだ」と言われます。

坊ちゃんは悔しかったからお兄さんの横っつらをぶって大変に叱られます。

その後は主人公は、お父さん、お兄さんと三人暮らしをした。

清という年老いた女中さんも一緒でした。

お父さんは坊ちゃんを見るたびにおまえは駄目だ駄目だと口癖のように言います。

父親の愛情を受けられないばかりか、坊ちゃんはたった一人の兄とも仲が悪いのです。

坊ちゃんによれば「兄は元来女のような性分で、ずるい」らしいです。

お互いに性格が合わなくて、相手が悪く見えるのでしょう。

十日に一度ぐらいの割合で喧嘩をしていました。

あるとき将棋をしたら、お兄さんが卑怯な待駒をして(卑怯というよりテクニックなのですが)困っている坊ちゃんを冷やかします。

むかついた坊ちゃんは手に持った駒をお兄さんの眉間にたたきつけました。

お兄さんの眉間が割れて血がでました。

お兄さんがそれをお父さんに言いつけると、お父さんは坊ちゃんを勘当すると言いだします。

その時泣きながらお父さんに誤って坊ちゃんをかばってくれたのは、昔から坊ちゃんの家で奉公している清という老女でした。

両親にも愛されない、お兄さんとも犬猿の仲。

そんな坊ちゃんを唯一可愛がってくれたのはこの清でした。

清は坊ちゃんに「あなたは真っ直ぐでよい御気性です」とほめてくれます。

清は自分の小遣いで坊ちゃんにおやつを買ってあげたり、靴下や鉛筆や帳面を買ってあげたり……

お金をくれたこともありました。

しかももらったお金を便所に落としたら、清が苦労して拾って洗って、綺麗なのと交換までしてくれたのです。

坊ちゃんが大好きな清は坊ちゃんが将来立身出世すると固く信じています。

坊ちゃんは世間的には出来の悪い少年ですから、全く根拠はないのですが……

清は坊ちゃんは将来立派な玄関のある家をこしらえる偉い人になると確信していて、家をどこに建てるか、また間取りまで考えているのでした。

お母さんが亡くなってから6年目にお父さんも亡くなりました。

丁度それから4か月後に坊ちゃんは中学校を卒業し、その2か月後に坊ちゃんのお兄さんも商業学校を卒業しました。

お兄さんは就職口が決まっていて九州に行きます。

お兄さんは家屋敷を含む遺産をすべて売り払いました。

九州に行く前にお兄さんは坊ちゃんに600円を渡して、これを資本にして商売するなり、勉強するなり好きにしたらいいと告げます。

清には退職金を渡して暇を出しました。

清は甥の家に世話になることになりました。

さて坊ちゃんは兄から600円をもらったわけですが、これを学資にして物理学校に入ることにしました。

それは特に物理が勉強したかったというわけではありません。

「商売をしたって面倒くさくて旨く出来るものじゃなし、学問はもともとどれも好きではないが、特に語学とか文学は真っ平ごめんだ」と考えているときに、たまたま物理学校の前を通ったら生徒募集の広告が出ていたから……」という消去法かつ出たとこ勝負な理由でした。

3年間、物理学校で学びますが、成績はいつも下から数えた方がはやいのでした。

しかし何とか卒業します。

卒業してから8日目に物理学校の校長から呼び出しがかかり、なんだろうと思って出かけたら仕事の紹介でした。

「四国のある中学校で数学の教師が要るのだよ、月給は四十円だが、行ってみる気はあるかい?」

坊ちゃんは教師になろうなんて考えたことは一度もないのですが、他に何をしたいと言うあてもないのでした。

そこで校長にこう言われると「行きましょう」と即答しました。

そんなわけで生まれてから東京以外は鎌倉以外には行ったことのない坊ちゃんは、はるか四国に行くことになったのです。

四国に出かける3日前に坊ちゃんは清を訪ねます。

世話になっている甥の家で、清は北向きの三畳間で風邪をひいて寝ていました。(冷遇されてるということですね)

清は坊ちゃんの姿を見て起きるなり「坊ちゃんいつ家をお持ちなさいます?」と尋ねます。

清は学校を卒業すればお金が自然とポケットの中に湧いてくると思っているようです。

四国に行くと告げたら清はがっかりした様子。

坊ちゃんが清に「夏には帰る、お土産は何がよいか?」と尋ねると越後の笹飴が欲しいとか、四国は箱根のさきですか?手前ですか? とまるで漫才みたいな会話になりました。

いよいよ出立の日には清が朝からやってきて、いろいろと荷造りを手伝ってくれました。

列車に乗った坊ちゃんがプラットフォームの清を見ると目に涙をいっぱいためています。

坊ちゃんも思わずほろりとしてしまいそうでした。

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