谷崎潤一郎『細雪』あらすじ

ロシア人家族との交流 花見 幸子の病気

いったん雪子の話から妙子の話に移ります。

妙子は女学生の頃から端切れをいたずらするのが好きでしたが、それが高じて次第に人形制作をするようになります。

妙子の教養がにじみでた人形は愛好家を集め、次第にそれで収入を得るようになります。

ついに個展を開くようになりますが、個展では人形は完売、少なくない収入を得ることができました。

また妙子はそれだけでなく、山村舞という伝統的な舞を習っていてそれでも将来は師匠になって収入を得たいと思っています。

妙子は自分で人形を作るだけでなく人にも教えるようになりました。

彼女の弟子にカタリナというロシア人の女性がいました。

ロシア革命をきっかけにロシアを出て、上海で暮らしていた女性です。

英語の学校に行って英国人と結婚して、娘を産みましたが、離婚して今は日本にいます。

離婚後日本にいる母と兄の家に身を寄せます。(ロシアから亡命後、カタリナは上海、母親と兄は日本で暮らしていたのです)

妙子の個展の後、中華料理屋で食事をしたときに幸子と貞之助がカタリナに偶然会ったことがきっかけで、カタリナは幸子たちを自宅に何度も招待の誘います。

何度も誘いがあり、ついに貞之助、幸子、妙子はカタリナの家を訪ねます。

不便そうな場所にある小さな家でした。

客が来るとぎゅうぎゅうになってしまう狭い部屋のなか、なかなか食事やカタリナ以外の家族が出てきません。

夜の8時になると急にご馳走が出てきて、カタリナの母や兄のキリレンコ、兄の友達のウロンスキーらがやってきます。

あまりにも多い料理に驚き、こっそり犬にやったり、信用できなさそうな生牡蠣に手を付けなかったり、と蒔岡家の人々が文化の違いにとまどいながらやり過ごす様子が描かれます。

カタリナは親英派、カタリナの母は反英派で二人はイギリスのことで喧嘩をします。

カタリナの母とカタリナの兄キリレンコは日本および天皇陛下が大好きで、部屋には両陛下の写真が飾ってあります。

カタリナの家を訪れてまもなく、姉妹たちおよび貞之助、悦子は毎年の恒例である京都への花見に出かけます。

この行事は貞之助と悦子は仕事や学校の都合で欠席したことはありますが、幸子、雪子、妙子の三姉妹の顔が揃わなかったことは一度もありません。

幸子にとっては毎年楽しみな行事でした。

一泊二日、あるいは二泊三日で毎年ほぼコースが決まっています。

幸子は毎年花火に行くたびに、「来年自分が再びこの花の下に立つころには、恐らく雪子はもう嫁に行っているのではあるまいか、花の盛りは廻って来るけれども、雪子の盛りは今年が最後ではあるまいか」と感慨にひたります。

しかし毎年そう思うのに、今年もやはりまだ未婚の雪子と花見に来たことを想うとまた切なくなるのでした。

花見からひと月後、入梅の時期に、幸子は黄疸で寝込んでしまいます。

幸子は一見健康的な美人なのですが、意外と病弱で病気で寝込むことはしょっちゅうでした。