小説『小虎』第16章 茶畑の中の学校(3)

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二郎叔父が行ってしまうと、
教頭先生は寮の先生に挨拶しに行こうと言った。

教頭室を出て渡り廊下をずっと進んだ。

君、
お父さんに似てないね!
とか、
お父さん今もクラリネットやってる?
(父は吹奏楽部でクラリネットをやっていたらしい)
とか話しかけられて、
私は緊張しながらぼつぼつと返事した。

窓の外には傾斜地に合わせて建てられたような高床式の建物が見える。

ペンキ塗りの壁が夕陽を映して赤い。

教頭先生は指差して、
あれは高校生の寮だよ、
中学生の寮はもっと先、
と教えてくれた。

空気はひんやりしていた。

山の中だからだろうか?

暗くてよく見えない大きな額絵を取りすぎたところで、
シンスケ先生!
シンスケ先生!
と言う声がして教頭先生が振り向いた。

後ろを向くと運動着の四十歳ぐらいの先生がいた。

その先生と少し話しこむと教頭先生はすぐに戻るからちょっと待っててね、
と言ってもと来た道を戻って行った。

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