小説『小虎』第25章 インターネット時代(3)

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「ねえインターネットって私たちの生活を劇的に変えたと思わない?
今までなら二度と会わなかった人とまた会って結婚することになったり……」

という妻に何をいまさら……、
と答えつつ、
私は急にあることを思い立った。

GOOGLE の検索BOXに「武藤健一」とケンイチの名前をタイプして検索ボタンをクリックした。

いくつか彼と同姓同名の人の記事がでてきたが、
年齢や顔立ちからいって赤の他人だった。

今度はFACE BOOKにログインして同じ事を試してみた。

検索する名前をカタカナにしたり、
ローマ字にしたりしてケンイチを探したがやはり見つからない。

私はふと急に思い立ち、
GOOGLEの検索ページに戻った。

木林虎之助、
と入れた。

これで漢字が合っていただろうか?
と疑いながらクリックする。

出てこない。

今度は鬼塚霊術、
で検索してみた。

一番上のページに
『宗教法人鬼塚霊術 ○○島の自然に包まれて、日本国の安寧と人々の幸せを祈る』
という青い文字が見える。

鼓動を早めて文字をクリックした。

ニューエイジミュージック風の音楽が流れる。

見覚えのある島の景観の写真に彩られたグリーンを基調としたホームページが現れた。

着物姿の坊主頭の青年の写真があり、
下に「代表鬼塚虎之助」と書かれている。

写真をクリックすると写真が大きくなった。

紺色の羽織袴の坊主頭の美少年がほんのり笑みをたたえている。

私は、
「こっ、
ことらっ!」
と声を上げた。

「スグルさん。
バームクーヘンもらったの。
食べる?」

妻がお盆にケーキと紅茶を乗せて持ってきた。

私の顔を覗き込むとスグルさん、
どうしたの?
幽霊でも見たような顔をしているわ!
と不思議がる。

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