小説『小虎』第25章 インターネット時代(4)

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私はもう一度小虎の写真を見た。

最後に会った時からほとんど年を取っていない。

大分前に撮った写真なのだろうか?

ホームページのいろいろな部分をクリックしてみる。

鬼塚霊術の概要、
沿革、
アクセス、
連絡先、
信者からの匿名の相談と回答、
どこを見てもすっきりしていてかつ情報量も多い。

よくできたホームページだった。

デザイン、
色使いも今風で非常にセンスがよい。

パステル調の色彩はスピリチュアルとかパワースポットとかが好きな若い女性が好みそうな雰囲気があった。

実際信者からの相談は若い女性からが多い。

私は昔行った鬼塚霊術の建物とあの男を思い出した。

どうしてもこのファッショナブルなホームページとあれらのつながりが見出せなかった。

こんなものを作ることを、
あの粗野な男が考えるだろうか?
そういえばさっき小虎の写真の下に
「代表 鬼塚虎之助」
と書いてあった。

私はさっきいい加減に読んだ鬼塚霊術の沿革を再度クリックした。

「宗教法人鬼塚霊術の沿革」によると鬼塚霊術の前代表は五年前に亡くなり、
それと同時に彼の養子である、
鬼塚虎之助、
つまり小虎が代表になったそうである。

私はほっとため息をついた。

もう一度ホーム画面に戻る。

鬼塚霊術はFACE BOOKもやっているみたいで、
そのページに飛んでみた。

FACE BOOKは写真日記になっていた。

ほぼ一週間に二回の割合で日記は更新されている。

少なくとも一年以上前には始められていたようだ。

島の四季の中にたたずむ小虎の写真を思う存分眺めることができた。

久しぶりに見る小虎の姿は、
懐かしいけれど新鮮だった。

最近の写真を見てもやはり小虎は少年のままだった。

写真日記の下にはかなり長い記事も書かれていた。

神様の道だとか霊魂のありかたとか、
日本の未来等について書かれていたが、
なかなか立派な文章だった。

書いた人はそれなりに学のある人らしい。

比較宗教論的な記事も多い。

キリスト教や聖書に造詣が深い人物のようだった。

最新の二日前のものは、
今日鬼塚代表は、
○○の滝で来年一年の日本の平和と繁栄を祈って祈祷をしました、
と書いてある。

上下白の着物姿の小虎が鼻を赤くして、
滝の前で手をあわせている写真が載せられていた。

私は小虎のほんの二日前の姿を見ることができることがなんだか不思議に感じられた。

日記の最後に(武藤記)とかっこ書きがある。

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