小説『小虎』第10章 小虎と猫(2)

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ぶらんこと、

砂場のある小さな公園についた。

その左側は白砂神社の鎮守の森を背景に小さな社があった。

狛犬や手水鉢、

鼠色の甍、

賽銭箱、

茶色や灰色で構成された冬の景色の中、

賽銭箱にかけられた注連縄や鳥居が赤々としている。

小虎が鳥居をくぐる。

手水鉢の辺りで止まり、
ミケやミケミケ!
と叫んだ。

狛犬の影から明るい、
毛皮に包まれたものが姿を現した。

かくれんぼに見つかった子供のように三毛猫が顔を半分だしている。

耳が大きい。

洋猫が何代か前に入っているかと、
疑われるほどだった。

その大きな耳の先を45度の位置に傾けている。

猫は緑の目を光らせながら、
小虎の足元にやってくる。

わき腹を小虎にこすりつける。

もう一匹の狛犬の影からまた猫が現れた。

今度は白猫だった。

よく太っている。

大福のような顔に小さな耳がついている。

目は右が緑で左が金色だった。

私が跪いて頭を撫でようとすると、
シャッ、
と右手を上げて私の右腕にパンチした。

白猫は私の横を通り過ぎた。

そのまま小虎の足元にやってきて小虎に愛しくて堪らないとでもいうように体をこすり付ける。

小虎の脚をよじ登らんばかりの勢いである。

小虎は白猫を抱き上げた。

三毛猫が、
小虎の膝にへばりつき、
顔を上に傾ける。

まるで小虎の頭が、
魚でできているかのように小虎を見つめていた。

小虎が白猫を少し押す。

白猫が小虎の肩に乗った。

小虎が手を組んだ。

白猫は小虎の肩から左腕を平均台をわたるように歩いた。

この太った体でよくもまあ!
とあきれるほどの器用さだ。

右腕の付け根まで来ると、
今度は右肩に登り、
首まで歩みを進める。

首の後ろを、
巧みに跨いで、
また左肩によじ登る。

そこでしばらく止まった。

小虎がスグル君、
ミケちゃんを僕の肩に乗せて、
とこちらに目配せした。

私はしゃがみこんで恐る恐る三毛猫を抱きあげると、
小虎の右の肩に乗せた。

小虎は両肩に白猫と三毛猫を乗せている。

小虎の顔は三毛柄と白の毛皮のマフラーにうずもれていた。

私はうらやましくてため息ついた。

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