小説『小虎』第22章 真冬の夜(2)

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スグルちゃんお三時よ!
という母の呼び声が聞こえた。

降りていくと、
二郎叔父が遊びに来たので、
一緒にお茶をしようという。

母が薔薇模様のコーヒーカップに入れた紅茶を
甘いにおいをさせながら持ってくると、
妹が叔父さん!
お兄ちゃんたら明日試験なのに部屋の掃除しているのよ!
と言った。

私は明日じゃないよ、
明後日!
荷造りしていたらいろいろ片付けたくなったんだよ!
と言い返した。

私は高校三年生になっていた。

三日前から学校は休みになり、
私は家に帰ってきていた。

明後日の第一志望の受験から始まる何校かの受験の為に、
明日東京の従姉妹の家に行くことになっていた。

二郎叔父が鞄から白砂神社のお守りを出して、
私に渡した。

窓の雪を見て二郎叔父が、
明日バス込むだろうな、
そうだ会社に行くついでに車で送ってやるよ!
と言う。

母が、
スグルちゃんが一週間も泊まるって言ったら叔母さん喜んでいたわ!
叔母さんには男の子がいないからね!
と言った。

私がちっともカステラを食べないのを見て、
二郎叔父がどうしたんだい!?
と聞いた、
うんちょっと食欲無いんだ!
というと二郎叔父と母は驚いた顔をして、
それは大変!
部屋であったかくして寝ていなさいという。

私は部屋に戻った。

もう一度引き出しの中を探したがやっぱり第一志望の受験票が無い。

私はぽかぽかのカーペットに膝をつけてベッドに頭を乗せた。

これが夢ならいいのに、
と布団を涙で湿らせた。

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