小説『小虎』第6章 祭りの後(2)

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日曜日の朝、
目を覚まして、
母を捜すと門先にいた。

近所の奥さんと立ち話をしている。

その人が帰るやいなや、
私に向かって小走りにやってきて、
両手を私の手の位置におく。

微笑みながら、
小虎ちゃん治ったんですって!
と私の手のひらを打ち鳴らした。

朝ごはんを食べ終わると、
私は二郎叔父に小虎のところへ連れて行って欲しいと頼んだ。

母が慌てた様子で私を止めた。

小虎は命の危機は脱したが、
まだ完全に元気なわけではない、
しばらく寝てなきゃいけない、
という。

母と二郎叔父がごそごそと話し合った後、
二郎叔父は母から茶封筒を受け取った。

二郎叔父は、
かばんに茶封筒を押し込むと、
自分と私のコートを持ってきて、
一緒にデパートに行こう、
と誘う。

デパートで買ってもらったのは、
ミニブロックのセットだった。

厚紙の蓋には「遣唐使船」と書かれ、
その下には波の中を進む、
黄色い帆を携えた、
淵の赤い、
白い船が描かれている。

赤い淵は船全体を取り囲んでいる。

船尾の淵は特に幅が広く、
趣のある曲線を描き、
金色で文様が描かれている。

船尾の一番上の端には目玉模様があった。

黄色い帆は畳をつなげたようなデザインである。

箱の中には赤、
白、
茶色、
黄色のブロックや模様の入った板が入っていて、
説明書もあった。

私はしばらくそれを組み立てるのに夢中だった。

私が小虎を思い出すたびに、
母と二郎叔父が共策して玩具、
遊園地、
デパートで私の気をまぎわらすのだった。

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