小説『小虎』第5章 祭りの日(3)

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二郎叔父が私の頭に手を置き、
強く前に倒した。

下を向いていなきゃ駄目だ!
といつになく厳しい口調で叱られた。

しばらく馬の蹄と
黒い漆塗りや白足袋や草鞋の足を見ていた。

悪いことをしてしまったと思い、
落ち込んでいた。

二郎叔父が今度は優しい声で、
もういいよ!
と囁く。

顔を上げると皆立ち上がっている。

手を合わせて、
馬のお尻を眺めている。

私も真似して手を合わせて、
馬の尻尾の揺れを目で追う。

私は、
偉い宮司さんが通るからこうしているの?
と尋ねた、
二郎叔父が答えた。

「偉いのはお稚児さんだよ」

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