小説『小虎』第7章 再会(2)

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いつもはススキ野原が尽きるまで、
まっすく歩いて、
小学校に行く。

しかし、
今日は野原の真ん中辺りにある道を左に曲がった。

籠からくうんとチワワの鳴き声が聞こえた。

家を出たときは寝ていたチビ助が
目を覚ましたらしい。

剥げたフェンスの向こうに
セイタカアワダチソウが荒々しく茂る道を少し進んだ。

信号機の赤や緑が、
目にまぶしい。

車が何台か走っている。

景色は町になった。

「ワンニャンクリニック」という文字と犬と猫の絵が、
ピンクの看板に青いペンキで描かれている小さな建物にたどり着いた。

ガラス張りの引き戸が開いた。

音楽とともに、
バスケットを下げたパーマ髪にサブリナパンツを履いた、
マダム風の中年の女性が出てきた。

バスケットから白いペルシャ猫が首を覗かせている。

ペルシャ猫は首の周りに円錐型のプラスティック製の付け襟のようなものをつけていた。

私達は今日はチワワを去勢手術させるために
病院に連れてきたのだった。

じゃあチビ助君はお預かりしますから、
夕方にお迎えに来てください、
と白衣のお爺さん先生が、
犬をオバちゃんから受け取った。

看護婦風の格好をしたお姉さんが
犬を抱いて奥の部屋に入っていく。

さっきから感心した様子で病院を見回していたオバちゃんが、
随分モダンになりましたねえ!
と嘆息した。

それをかわぎりに、
獣医さんとオバちゃんは世間話を始めた。

二人は古い知り合いのようだった。

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