小説『小虎』第15章  転校(3)

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ちょっと待って!
と私は慌てた。

私はほんの一ヶ月前に
ある私立中学に入学したばかりだった。

家の最寄の停留所から二十分ほどバスに揺られて着いたところにある
ミッション系の男子校だった。

「聖コロンバ学園、白砂町校」といったが、
分校については普段意識になかったから、
ただ「聖コロンバ学園」と呼んでいた。

父も、
二郎叔父も、
従兄弟達ですらみな「聖コロンバ学園」出身だった。

浄土真宗の檀家で白砂神社の氏子の田中家の男子がみなこぞってこのカソリック系の学校に通うのは特に深い意味は無かった。

単に他に家から通える場所に中高一貫の進学校がないという理由からだった。

公立中学に進んだ美登利や正太がいないのは嬉しかった。

ただ五年生ぐらいまで女の子とばかり遊んでいた私は男子校に入るのは不安だった。

いじめられないか友達ができるか不安でいっぱいで入学式を迎えたが、
出席番号が隣の生徒とたまたま気が合った。

彼のおかげで五人組の仲良しグループにも入れてほっとした矢先だったのだ。

「やだよ!
転校だなんて、
友達できたばかりなのに」

今の学校の友達ともこれからも文通とかで仲良くして、
新しい学校でまた友達をつくればいい!
友達は沢山いたほうが楽しいはずだ!
と父は言う。

子供の頃から社交家だったという父には私の気持ちはわからないらしい。

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