小説『小虎』第19章 噂(3)

≪前へ    ≪目次≫   次へ≫

一連の託宣、祈祷が終わると終わると、
「先生」と、
呪い用具を抱えた小虎は着替えをした部屋に戻ったらしい。

ふすまから

「もたもたしやがって!
このぐず!」
という怒声が響いたそうだ。

山口さんの奥さんは、
先生に謝礼を渡した後、
スラックスとポロシャツの入った紙袋を、
小虎に差し出したという。

スーパーのバーゲンで安かったから息子の為に買ったものの、
息子に
「こんなださいの着れるか!」
とつきかえされた服だったそうだ。

小虎の着ていた洋服があまりにもぼろぼろで体に合っていないのを
見るに見かねてのことだったという。

山口さんによると小虎の着ていたものは、
おそらく、
そのよく肥えた大男の「先生」のお下がりだという。

派手な和柄がプリントされたぶかぶかのトレーナーだったらしい。

先生に、
これ!
お礼をいいなさいと、
背中を押されると、
小虎がぺこりとお辞儀をしたという。

その時に大きく覗いた小虎の胸元には
青あざがあったそうだ。

≪前へ    ≪目次≫   次へ≫