『クマソタケルの館にて』 第2章【1人用朗読(声劇)台本】

1人用声劇台本まとめページ

振り向けばコウス様は体をこごめ、
すっかり乱れた髪の下でうなだれていた。

最終手段として、
私は両足を開きしゃがみこんだ。

コウス様の腰を抱き抱え、
えいっと踏ん張って起立する。

コウス様、
見た目こそほっそりしていらっしゃるけど、
持ち上げてみれば結構重い。

右に左によたよたしながら、
なんとか足を持ちこたえさせ、
階段を降りる。

急く心で、
予定していた出口に向かうと、

「何処に行く?」

という男の声が聞こえたので、
もはやこれまでか? と思ったが、
見ればみずらも、
膝まで伸びた髭も、
真っ白な、
小柄な、
気のよさそうな爺(じじ)で、

「お嬢さん。
帰るのなら、
お米一俵を、
ちゃんともらってからじゃないとだめだよ」

と分厚く横に長い唇を、
にっこりとさせて言うので、

「この娘(こ)、
酔っ払っちゃったので、
家に置いてきてから、
また来ます」

と答えて、
堂々と門から出たのだった。

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