【フリー朗読台本】鳥になって会いに行く|祝英台と梁山伯|気になる女顔の優等生は男装の麗人でした【短編小説:5169字】

「皆と一緒に勉強をしていた祝英台君は、
実は女の子だったんだ」

書生達がどよめいた。

「この度、
彼は、
あ間違えた。
彼女は、
上虞(じょうぐ)のご実家に戻って花嫁修業をすることにされたそうだ」

柔らかな風に乗って薔薇の匂いが教室の中に漂う。

教室の外の海棠の花びらが
柳老師の鏡のような髭に舞い降りた。

「祝君は女の子なのにあんなに優秀なんだ。
みなさんは男の子なのだから、
祝君に負けないよう頑張るように」

窓の外の八重桜は花火のように咲き乱れている。

机の上の陽が当たってちらちらとした所に、
桃色の影が落ちていた。

池をツツジとサツキが囲んでいた。

梅色、桜色、八重桜色、
桃色、紫色、すみれ色が順番に植えられている。

低く生えた桃の木が水面に映っている。

重なるように浮かぶ濃い緑の、丸い葉の上で、
ぽつぽつと真っ赤な睡蓮が花開いていた。

合間を赤と黒の鯉がすらすらと泳いでいる。

群生した水仙が鯉をのぞきこんでいた。

水辺の鈴蘭が強い香りを飛ばし、
僕の鼻の穴をしっとりと触る。

窓際の仲良く並んだ二輪の芍薬は、
すっかり打ち解けた様子で
薄衣のような幾重にも重なる花びらをすべて開いていた。

淡い黄色の花芯を露にし、
喋々喃々(ちょうちょうなんなん)と語り合っている。

つがいの青アゲハが教室に入ってきた。

二匹は手をつないで踊るようにぴったりとくっついて、
ころころと回りながら縦横に宙を舞っている。

翌朝僕は鳥になって上虞(じょうぐ)へと飛んでいった。
【終わり】

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