『母を恋ふる記』あらすじ 感想

海が近くなる

潤一は再び街道を進みます。

街道のさらに5, 600M先には丘があるようです。

街道はその丘のふもとまでまっすぐに伸びているようですが、丘に突き当たってからはその先の道はどうなっているのかは、潤一のいる場所からはよくわかりません。

丘には松の木が生えていて、街道の脇の松並木と同様に真っ黒です。

大きな松の木の林が丘のふもとから頂上までこんもりと茂っているようでした。

さあっさあっという松風の音が聞こえます。

潤一は丘に向かって歩きます。

もう蓮沼のカサカサという音は聞こえません。

ごうっごうっという海の轟きばかりが鳴っています。

足の下がやけにやわらかくなりました。

歩くたびにぼくりぼくりとへこみます。

道が砂地になっているようです。

道は松の林の間をぬうように続いていて、右に左にしょっちゅう折れ曲がります。

うっかりすると松林にまぎれこんでしまいそうで、潤一はどきどきしてきます。

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