公園に向かう
主人公は恋人と通れ立ち、公園に向かいました。
街頭の人ごみを眺めていた主人公は、その雑踏に異様な現象が現れていることに気が付きます。
町の四方から四条の道路が、四つ辻の噴水に集まっています。
そのうち北、東、西から来た道路はみな四つ辻の広場に集まった後、皆そろって南の道路に向かうのです。
いったい南の道路の先には何があるのでしょう。
(彼女)
御覧なさい。
御覧なさい。
これ程大勢の人たちがみんな公園へ吸い寄せられて行くのです。
さあ! われわれも早くでかけましょう!
恋人にこう言われて。主人公は南の道路を進みます。
雑踏の中で彼女とはぐれないように、鉄の鎖の如く頑丈に腕を組みあって南に向かいました。
周りの人々は異常なほどバカ騒ぎをしています。
主人公は周りのバカ騒ぎをする人々と彼女を比べて、彼女のしとやかさ、純潔さにハッとします。
一時間程たち、公園にたどり着きました。
それまで同じ方向に一斉に進んでいた人々は散り散りになり、思い思いの方面へと散らばっていきます。