高校一年生の夏休みだった。
お盆に親戚達が集まった。
お坊さんが帰った後、
出前の寿司を取り、
酒盛りの時間となった。
サイダーを飲みながら縁側に腰掛けていると、
スグル君は大学は何処に行きたいの?
将来は何になりたいの?
と離れて住む叔父や従兄弟が一族の男の中で一番若い私を囲み、
いろいろ質問する。
私は膝を見つめながら、
ぽつぽつと答えていた。
ガールフレンドいるの?
と聞かれて、
男子校ですから、
と答えると、
叔父さんも男子校だったけれど向かいの女子校の女の子と仲良くなって、
よく映画館とか喫茶店に行ったもんだ、駄目だよ勉強ばかりじゃ、
二郎君みたいになっちゃうよ、
と酔っ払った真っ赤な顔で言った。
二郎叔父はすぐ隣でへらへらと笑っている。
私はいたたまれなくなって、
ちょっと、おつまみ取ってきます、とその場を去った。
古びた濃い茶色の木張りの廊下をぎしぎしさせながら、
台所に向かうと、
女性陣が台所と、
その隣の六畳間で盛り付けと片付けに精を出していた。
ある近くに住む親戚の女性がおにぎりを握りながら
盛んに口を動かしている。