宮沢賢治|どんぐりと山猫|あらすじと感想

ある土曜日の夕方、主人公の少年、一郎のもとにおかしなはがきが届きました。

かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。
とびどぐもたないでくなさい。
                山ねこ 拝

このように、文章もおかしく、字はへたくそでしたが、一郎は手紙を受け取ったことが嬉しくてうれしくてたまりません。

翌朝、わくわくしながら出かけました。

一郎は栗の木や、滝や、きのこ、りすに山猫の居場所をきいて、山の中を進んでいきます。

(動物に聞いて答えてくれるのは童話にはありがちですが、栗の木や、きのこ、といった、植物、さらには滝、といった無生物とまで会話ができるのが面白いですね)

最後に一郎がたどりついたのは草地でした。

そこにせいの低いおかしな形の男がいました。
一郎は気味悪く思いながらその男に
「あなたは山猫をしりませんか?」とたずねると、男は
「山ねこさまはいますぐに、ここに戻ってお出やるよ。お前は一郎さんだな。」
と言います。
それから男と少し話をした後、一郎はあのハガキを書いたのはこの男であることを知ったのでした。
男は「わしは山ねこさまの馬車別当だよ。」と自己紹介をします。
まもなく風貌の立派な山猫が現れ、裁判が始まりました。

一郎の目の前に、黄金色の赤いズボンをはいたどんぐりが何百個(人)も現れこう言い争っています。

「いえいえ、だめです、なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」

「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」

「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」

「そうでないよ。わたしのほうがよほど大きいと、きのうも判事さんがおっしゃったじゃないか。」

「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」

「押おしっこのえらいひとだよ。押しっこをしてきめるんだよ。」

なんと裁判の内容はだれが一番えらいか、でした!

超くだらないですね(;^ω^)

こんな内容で3日も裁判が続いているそうです。

「このとおりです。どうしたらいいでしょう。」

山猫に尋ねられると、聡明な少年一郎はこう言いました。

「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。」

山猫が一郎のいうとおりにどんぐりに言い渡すと、あっというまにシーンとなりました。

そりゃあそうですね。どんぐりたちは、みな自分が一番偉くなりたいのです。

ここで、
「いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらい」ということになったら、それで偉くなってもやはり偉くない、ということになりますから偉くなるいみがありませんものね。

3日続いた裁判を終わらせた一郎は山猫におれいに沢山の黄金のどんぐりをもらって、家に帰りました。

山猫は一郎の裁判を終わらせた手腕に大変感動して、一郎にまた来てほしい、と言っていましたが、それ以来一郎に招待のハガキがくることはありませんでした。