【フリー朗読台本】帰り道【短編】【切ない】

朗読(声劇)台本としてお使いになる際の注意事項
空をおおう桜の花びら

かつて行った道を今は帰る

ここの景色は何も変わらないけれど

水面(みなも)にうつる姿はあの日とは違う

(間)

気がつかなかった桜の色がこれほど濃いことに

気がつかなったブロンズ像が手をつないでいたことに

気がつかなかったパンジーではなくてスミレだったことに

そうあの時は道の向こうしか見ていなかった

(間)
とらえた鳥はみな灰色へと変わった

本物の青い鳥はこの町に飛びかう

耳もとでささやく甘い鳴き声に

こみ上げる涙こそ生きている証(あかし)

【終わり】
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フリー朗読台本【切ない】