確かに彼女の言う通りである。
彼女、
竹中ゆり子とは小学三年生から卒業までのクラスメートだ。
女の子とばかり遊んでいるのをからかわれた時、
かばってくれたあの背の高い少女である。
就職して数年後の、MIXIが流行っていた頃だった。
友達から招待状を受け取って登録した私は出身小学校のグループを見つけた。
早速グループに加わると、
職場の近くのレストランでOFF会が開かれるという知らせをもらった。
そこで私は妻と十数年ぶりに再会したのである。
当時体が大きく、
姉のように私を守ってくれた彼女はいつのまにか私より頭一つ小さくなっていた。
話し方や立ち振る舞いも少女のようで可憐だった。
淡いオレンジの花柄の膝上のスカートから白い網タイツにまとわれた綺麗な足が伸びていた。
ふんわりとしたクリーム色のブラウスから華奢な手を覗かせ、
少しうつむいて、
頬を赤らめていた。
「田中君たら、
男らしくなっちゃって見違えたわ」
私は彼女に一目惚れした。
それまで彼女いない暦イコール年齢で女性に対してはシャイだったのに、
まるで別人になったかのように積極的にアタックした。
彼女はにっこりと私を受け入れてくれた。
再会して二年目に結婚式を挙げた。
結婚と同時に私は田中から竹中姓になった。
一人娘である彼女の家の婿養子になったのである。
実家の方は研修医の期間を終えてすぐに妹と結婚した酒屋の直人さんがついでいた。
この話をするとわざわざ息子さんを養子に出して、
お婿さんもらうなんて変わったお家ですね、
と人は言う。