ブランコが急に止まった。
暖かい手が私を抱きしめる。
二郎叔父さん?
と一瞬思った。
顔をあげると、
年上の少年の顔があった。
かっきりとした顎の面長な顔に、
子供離れした鼻筋が通っていた。
その下の少し幅広の唇はわずかに開いていた。
短い前髪の下の一直線の眉は、
きりきりとつりあがっている。
睨むような目はみっしりとした睫毛に取り囲まれてた。
颯爽とした少年の顔立ちの中、
そこだけ少し女性的に見えた。
女っぽいといっても女の子ではなくて、
二十歳を過ぎた成熟した女性のようである。
大人びた鋭い目線は私の背中を通り越していた。
お前達、
弱い者いじめして最低だ!
という一喝が公園に響き渡った後、
この突然現れたお兄さんといじめっ子達はしばらくやりあっていた。
この子、
弱いから鍛えてやった、
とか友達いなそうだから遊んでやったとか、
散々言い訳したが、
最後には一斉に私に向かい、
スグル君、
ごめんなさい!
と深々とお辞儀をした。