二郎叔父が私の頭に手を置き、
強く前に倒した。
下を向いていなきゃ駄目だ!
といつになく厳しい口調で叱られた。
しばらく馬の蹄と
黒い漆塗りや白足袋や草鞋の足を見ていた。
悪いことをしてしまったと思い、
落ち込んでいた。
二郎叔父が今度は優しい声で、
もういいよ!
と囁く。
顔を上げると皆立ち上がっている。
手を合わせて、
馬のお尻を眺めている。
私も真似して手を合わせて、
馬の尻尾の揺れを目で追う。
私は、
偉い宮司さんが通るからこうしているの?
と尋ねた、
二郎叔父が答えた。
「偉いのはお稚児さんだよ」