日曜日の朝、
目を覚まして、
母を捜すと門先にいた。
近所の奥さんと立ち話をしている。
その人が帰るやいなや、
私に向かって小走りにやってきて、
両手を私の手の位置におく。
微笑みながら、
小虎ちゃん治ったんですって!
と私の手のひらを打ち鳴らした。
朝ごはんを食べ終わると、
私は二郎叔父に小虎のところへ連れて行って欲しいと頼んだ。
母が慌てた様子で私を止めた。
小虎は命の危機は脱したが、
まだ完全に元気なわけではない、
しばらく寝てなきゃいけない、
という。
母と二郎叔父がごそごそと話し合った後、
二郎叔父は母から茶封筒を受け取った。
二郎叔父は、
かばんに茶封筒を押し込むと、
自分と私のコートを持ってきて、
一緒にデパートに行こう、
と誘う。
デパートで買ってもらったのは、
ミニブロックのセットだった。
厚紙の蓋には「遣唐使船」と書かれ、
その下には波の中を進む、
黄色い帆を携えた、
淵の赤い、
白い船が描かれている。
赤い淵は船全体を取り囲んでいる。
船尾の淵は特に幅が広く、
趣のある曲線を描き、
金色で文様が描かれている。
船尾の一番上の端には目玉模様があった。
黄色い帆は畳をつなげたようなデザインである。
箱の中には赤、
白、
茶色、
黄色のブロックや模様の入った板が入っていて、
説明書もあった。
私はしばらくそれを組み立てるのに夢中だった。
私が小虎を思い出すたびに、
母と二郎叔父が共謀して玩具、
遊園地、
デパートで私の気をまぎわらすのだった。