「ぎえええ! ぐあああ! があああ! ぎょああああ!」
獣の泣き叫ぶような声と腕の上で鮫(さめ)が跳ね回るような感触で私は一気に目を覚ました。
コウス様が私の腕の中で体を激しくくねらせている。
両腕両足を、
天敵から逃げる鳥の羽ばたきのようにバサバサと動かしている。
顔の肉をひきつらせるように目を大きく開き、
葬式に伴う女達のように泣き叫んでいらした。
私はコウス様の体を葦の原に落さないように脚をふんばりながら、
どうなさったのです? と訳を尋ねると
「あれじゃ駄目だ! 親父に俺がやったって証明できない!」