今日はお日様がぽかぽかだね。
こたつで丸くなっていたタマもお庭で遊んでいるね。
あっくんどうして泣いているの?
何か悲しいことがあったのかな?
あっくんが僕を作ってくれたあの日、
おうちのまわりは一面の銀世界。
冷蔵庫みたいなお外で、あっくんのお友達たちが、
長靴をずぼずぼさせながら、雪合戦をしていたね。
あっくんは小さな雪のボールだった僕を拾って、
周りに雪をくっつけて僕の頭を作ってくれたね。
ママの「風邪をひくからおうちに入りなさい」という声も聞かないで、
鼻をぐすぐすさせながら、僕のおしりも作ってくれたね。
そしてバーベキューの炭でできた僕のおめめ。
あっくんとお揃いの真っ赤なニンジンのお鼻。
(間)
僕に木の枝のお手々がついたあと、粉雪が舞いだしたね。
風にあおられくるくるまわる雪の粒は、だんだん大きくなっていったね。
目の前は真っ白で、あまりよく見えなかったけど、
あっくんのお口はにこにこで、
まつげのはしっこに雪の結晶が、くっついていたね。
今にも落ちてきそうな、灰色の雲の下。
吹雪のカーテンごしに、僕たちはずっとずっと見つめあっていたね。
(間)
今日はお日様がぽかぽかだね。
ずっとおうちにいたおじいちゃんもお散歩に出かけたね。
あっくんどうして泣いているの?
僕のお顔が半分になったのが悲しいの?
今日はお日様がぽかぽかだね。
あんまり気持ちがよくて、僕の体はほとんど溶けちゃったよ。
あっくんどうか泣かないで。
大丈夫、来年もきっとまた会えるよ。
(終わり)