【フリー朗読台本】雪だるまのさようなら【切ない:620字】

朗読(声劇)台本としてお使いになる際の注意事項

今日はお日様がぽかぽかだね。

こたつで丸くなっていたタマもお庭で遊んでいるね。

あっくんどうして泣いているの?

何か悲しいことがあったのかな?

あっくんが僕を作ってくれたあの日、
おうちのまわりは一面の銀世界。

冷蔵庫みたいなお外で、あっくんのお友達たちが、
長靴をずぼずぼさせながら、雪合戦をしていたね。

あっくんは小さな雪のボールだった僕を拾って、
周りに雪をくっつけて僕の頭を作ってくれたね。

ママの「風邪をひくからおうちに入りなさい」という声も聞かないで、
鼻をぐすぐすさせながら、僕のおしりも作ってくれたね。

そしてバーベキューの炭でできた僕のおめめ。

あっくんとお揃いの真っ赤なニンジンのお鼻。

(間)

僕に木の枝のお手々がついたあと、粉雪が舞いだしたね。

風にあおられくるくるまわる雪の粒は、だんだん大きくなっていったね。

目の前は真っ白で、あまりよく見えなかったけど、
あっくんのお口はにこにこで、
まつげのはしっこに雪の結晶が、くっついていたね。

今にも落ちてきそうな、灰色の雲の下。

吹雪のカーテンごしに、僕たちはずっとずっと見つめあっていたね。

(間)

今日はお日様がぽかぽかだね。

ずっとおうちにいたおじいちゃんもお散歩に出かけたね。

あっくんどうして泣いているの?

僕のお顔が半分になったのが悲しいの?

今日はお日様がぽかぽかだね。

あんまり気持ちがよくて、僕の体はほとんど溶けちゃったよ。

あっくんどうか泣かないで。

大丈夫、来年もきっとまた会えるよ。

(終わり)

フリー朗読台本まとめページ
フリー朗読台本【切ない】