△△が覚えられないのに読まれるわけがない
第2章、第3章ぐらいで脱落してしまう小説にありがちなのは、序盤から登場人物がどんどん増えていくやつです。
読者は覚えきれずに誰が誰だかわからなくなる。
いったんわからなくなったら、もうつまらないので読むのをやめてしまいます。
登場人物はできるだけ減らして、登場するのはゆっくりにしましょう。
特にこんな理由で登場人物を増やすのはバカバカしいのでやめましょう。
・この小説は男性(または)女性キャラばかりだから、女性(男性)キャラもいれよう。
・不思議ちゃんとか男の娘とか、はやりのキャラをいれよう。
・若い美男美女ばかりだけの組織だと不自然だから、中年の登場人物もいれよう。
・この人は35歳の男性だから、結婚しているだろう。奥さんを出そう。
奥さんが空気だと、女性差別と言われてしまうから、奥さんも個性的に。
・物語が停滞してきたからここで新登場人物をいれて打開しよう。
最後の「物語が停滞してきたからここで新登場人物をいれて打開しよう」はいたしかたないところもありますが、なるべくやめたほうがいいですね。
代替えの方法として以前登場して一度退場した人を出す、という方法もあります。
新しい村で出会った人は、転生前の主人公の上司の生まれ変わりだったとか……
アイディアをしぼってみてください。
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また登場人物を覚えやすくするためには、呼称を統一することも大事。
例えば学園もので、山田太郎という登場人物が出てきたら、リアリティを重視して、クラスメートに「山田君」とか、「太郎」とか、「やまっち」とか、いろいろな呼び方で呼ばせたくなるかもしれませんが、やめたほうがいい。
読者はいくつもある呼び名を覚えられません。
ここは多少リアリティを無視して、呼び名を「タロウ」で統一させるのがいいかと思います。
また登場人物の名前を読者に覚えてもらうために、タロウ君が登場してまもなくは「タロウ」「タロウ」と名前を連呼します。
例えば、クラスメートがタロウに挨拶するとき、ただ「おはよう!」ではなく、「タロウ、おはよう!」と名前を添える。
他にも
「タロウは振り向いた。それから鞄を取って、中を開けた。そこには彼のものではない教科書が入っていた」と書く所を、
「タロウは振り向いた。それからタロウは鞄を取って、中を開けた。そこにはタロウのものではない教科書が入っていた」と名前を繰り返して、読者にタロウ君を印象づけます。
読者は仕事や勉強で小説を読んでいるわけではありません。
あくまでも娯楽。
もっといえば、気晴らし、暇つぶし。
あんまり頭を使わないで、ぼーっと読んでいても、ストーリーが追えるように書くことが基本です。
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登場人物を減らすことのメリットとして、一人一人の印象を濃くできるというのがあります。
ちょい役だった人も繰り返し登場すると、印象が濃くなってきます。
濃い印象の登場人物が多く、ぼんやりとした印象の登場人物が少ないことも面白い小説の条件の一つです。
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また登場人物の数を減らすことは読者へのサービスになります。
これは私の経験なのですが、小説やマンガに一度登場したわき役を好きになって、
彼(彼女)の再登場を楽しみにして読み続けたのに、結局最後まで出てこなくてがっかり、ということがよくあります。
こんな新キャラいらないよ!! それより〇〇を出してくれ!! と思ったことが何度あることか。
一度登場させたキャラはファンがついている可能性があります。
ファンを喜ばせるためにも、何度も活躍させてあげましょう。
第1章 はじめに
第2章 〇〇がないと1ページ目でブラウザバック?
第3章 △△が覚えられないのに読まれるわけがない
第4章 誰が何をしているかはっきりさせよう