さらにわかりやすくする方法として、次のような方法があります。
1)セリフを聞いただけでもだれが話しているかわかるように書く。
女言葉、男言葉、お爺さんことば、などは積極的に使う。
ざあますことば、乱暴な言葉、お嬢様言葉……などもキャラにあわせてどんどん使いましょう。
たとえば先ほどのシーンだったらミサトのセリフを「なんか変じゃない? この時間に校門の前にわたしたち三人しかいないなんて」というように、女の子らしい言葉づかいに変えると、さらに誰のセリフだかわかりやすくなります。
また男子学生が二人いるわけですから、一人の一人称を「俺」にして、もう一人は「僕」にしたりするのもいいですね。
2)視点を固定する。
小説を書くときはなるべく視点を固定するようにしましょう。
短い字数の中で視点を変えてはいけないのは、小説を書く上での常識中の常識ですが、できれば一つの作品を通して視点を変えないことをおススメします。
読者はぼーっと読んでいることが多いです。
視点が変わった時に、それがわかるようにちゃんと主語を書いてあげても、読者は読んでいなかったり、忘れてしまうことが多いのです。
一つの作品を通して視点を固定させれば、その小説のなかで、主人公以外の人が思ったり、感じたりすることは決してないわけです。
だから「思った」とか「感じた」と書いてあれば、読者は主人公がそう思ったり感じたのだと特に意識していなくても、瞬時にわかります。
情景描写を書いても、主人公が見ている景色なのだとすぐにわかります。
またモノローグや心理描写を書けば、読者は「これは主人公の胸のうちを書いているのだな」とすぐにわかるわけですね。
このように序章から完結まで視点をブレさせない小説が、読んでいて一番わかりやすいです。
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でもどうしても視点移動をしたい場合もあるでしょう。
そのときはまずは書き方を工夫して、視点移動を極限まで減らすべきです。
さらに動作や心理描写の前にしつこく主語を書くようにしましょう。
例)
× 空を見上げるとどすぐろい雲の上に雷光が走った。
〇 ヒロシが空を見上げるとどすぐろい雲の上に雷光が走った。
× あいつらつきあっているのかな?
〇 ヒロシは思った。「あいつらつきあっているのかな?」
× 胸がむかむかする……
〇 ヒロシは胸のむかつきを感じた。
特に視点が変わってから、1,2章ぐらいは、念入りに主語を書くように気をつけましょう。
ただあんまり「ヒロシは」「ヒロシは」と繰り返すと美しい日本語ではありません。
やはり一つの作品を通して、視点を固定したほうがすっきりまとまった小説になりやすいです。
一番のおすすめは最初から最後まで一人称で主人公視点の小説を書くことです。
一番書きやすくて読みやすい小説にしあがります。
それ以外の場合は、わかりやすくするための工夫がいろいろと必要になるわけです。
第1章 はじめに
第2章 〇〇がないと1ページ目でブラウザバック?
第3章 △△が覚えられないのに読まれるわけがない
第4章 誰が何をしているかはっきりさせよう