父はパンフレットをめくると
「いいなあ!
この学生寮!
まるでイギリスのパブリックスクールみたいじゃないか。
先生は神父さんで外人さんも多いみたいだ。
イギリスの学校と交換留学もしているらしいよ。
乗馬部があるらしいよ。
フランス語とドイツ語も選択できるぞ!
ああ父さんもこんな学校に通いたかったなあ!
でも父さんがスグルの年の時はまだこの学校はなかったから」
さっきからずっと黙って横目でパンフレットを眺めていた二郎叔父がちょっと貸して、
とパンフレットを取り上げる。
しばらくパンフレットのあるページを読みいった後、
深くうなずいた。
「寮の先生が自習や生活を管理してくれるんだって。
叔父さんももしこの学校に行っていたら医学部に入れたかもなあ!
でも叔父さんの時もまだできてなかったから……」
母も、
この制服イギリスの男の子みたいで、
お洒落ね、
スグルちゃんが着たらきっと似合うわ、
すてきな校舎ね、
こんな所で六年間も過ごせたらロマンチックだわ、
礼拝堂にこんなきれいなステンドグラスがあるのね、
あらこの神父さんまるでスグルちゃんが好きな映画の魔法学校の校長先生みたい、
とすっかり気に入ったようだった。
最後にスグルは甘やかされすぎだから寮に入って少しは自立したらいいんだ、
と叔母が一言添えて、
ほぼ私の転校は確定した。