代助と三千代
しばらくして三千代がまた代助を訪ねてきます。
三千代が訪ねてきたとき代助は昼寝中でした。
そこで三千代は書生の門野に、買い物をしてからまた来ると言って、出ていきました。
昼寝から目覚めた後それを門野から聞いた代助は三千代が来るときくとそわそわしだします。
読書も手につきません。
再びやってきた三千代は心臓が悪いうえに沢山歩いて疲れたのでしょうか?
苦しそうです。
すぐにでも水が飲みたそうです。
代助は門野や女中さんに客をもてなすために水や菓子を出させるようにしますが、二人とも準備が悪くすぐに出てきません。
待っている間に三千代はスズランをつけていた水を飲みます。
三千代は代助の家の周りの方が自分の家の近所よりも物価が安いから買い物に来て、そのついでに代助の家に寄ったのでした。
三千代は心臓が悪く、すこし急いだりするとすぐに苦しくなってしまうそうです。
そしてこの病気が完治する見込みはもうなさそうでした。
三千代はおみやげに百合の花をもってきていました。
甘ったる強い香りのなか、三千代と差し向いに座っていると代助はあやしい気分になります。
そして
「そう傍で嗅いじゃ不可いけない」
「あら何故」
「何故って理由もないんだが、不可ない」
そして三千代は「あなた、何時から此花がお嫌になったの」と質問します。
三千代によるとまだ三千代の兄が生きている頃に、代助が百合の花をもって三千代と兄の家を訪れたというのです。
そしてその時は代助も百合の花に鼻をつけて嗅いでいたというのです。
二人は雨の降る中二人は並んで庭を眺めています。
三千代は時折代助からもらった指輪を眺めたり……
ロマンチックな雰囲気の中、代助は三千代に平岡の就職のことを聞きます。
平岡は新聞社に就職が決まったそうです。
こんどは代助は借金のことを聞きます。
「あれで例の借金は解決できましたか?」
三千代は赤くなります。
平岡と三千代は代助の貸したお金で借金を解決しませんでした。
結局生活費に使ってしまい今はすっかりなくなってしまい、借金はそのままだとのこと。
三千代は「あなたをだましたわけではないのよ、本当にごめんなさい」とすまなそうに謝ります。
代助は「あれは貴女にあげたのだからそうすまなく思わなくてもよい」と優しく答えます。
とりわけ「貴女」という言葉を強調して……