女性から先に声をかけてはいけない
イザナギノミコトとイザナミノミコトはその島に降りて、大きな柱のある、立派な御殿をたてました。
おのごろ島に立派な御殿をたてると、イザナギノミコト(男神)はイザナミノミコト(女神)にこう尋ねました。
イザナギノミコト
あなたの体はどうなっていますか?
イザナミノミコト
私の体には一か所足りない所があります
イザナギノミコト
そうでしたか。
私の体には一か所余っているところがあります。
私の体の余っているところを、あなたの体の足りない所にさしてふさいで、国を産もうと思いますが、どうでしょう?
イザナミノミコト
賛成!
イザナギノミコト
それでは、私とあなたは、この柱の周りを歩いて会ったところで、結婚をしましょう。
あなたは右から歩いてきてください。私は左から行きます。
そう約束すると、さっそく二人は実行することにしました。
イザナミノミコトが柱の右側から、イザナギノミコトがが柱の左からやってきて、出会ったところでお互いに声を掛けます。
イザナミノミコト
ああ! なんて素敵な男性でしょう!
イザナギノミコト
ああ! なんて素敵な女性だろう!
イザナミノミコトは子供を産みました。
しかし生まれたのは水蛭子(ひるこ)といって不具の子でした。
二人は水蛭子(ひるこ)を葦の船に入れて、海に流してしまいました。
次に淡嶋という子をうみましたが、これも水蛭子(ひるこ)と同じ調子でした。
どうしてよい子供が生まれないのだろう……
悩んだ二人は、天つ神に相談に行きました。
天つ神は二人の話を聞くと、ふとまに(鹿の肩甲骨を焼いてひびによって判断する日本古代の占い)をしてこう言います。
天つ神
女から声をかけたのがいけなかったのじゃ。
おのごろ島に帰ってまたやりなおしなさい