ヤマトタケルの最期
その後、尾張の国に戻り、ヤマトタケルはミヤズヒメと結婚ました。
しかし、おごりから失敗をして、うっかり命をおとしてしまいます。
あるときヤマトタケルは
ヤマトタケル
この山の神なんて素手でやっつけてやるぞ!
と、草薙の太刀をミヤズヒメのもとにおいて、伊吹山に登ります。
山に登るときに白い猪に山の中腹で出会います。
まるで牛のように大きな猪でした。
ヤマトタケルはその猪を見て、
ヤマトタケル
この白猪は山の神のつかいだろう。今やっつけなくても後でやっつけてやる!
と、山を登り続けます。
実はこの白猪は山の神の遣いではなく、伊吹山の神でした。
ヤマトタケルの不遜な言葉に怒った伊吹山の神ははげしいヒョウを降らせました。
ヤマトタケルはいのちからがら山を下りさまざまな歌をよみながら、各地を歩き回りますが、もう息も絶え絶えです。
瀕死の状態でこのような歌を詠みます。
ヤマトタケル
大和は 国のまほろば たたなづく 青垣山ごもれる 大和し 美し
ヤマトタケル
命の またけむ人は 畳薦(たたみこも) 平群(へぐり)の山の 熊白檮(くまかし)が葉を 髻華(うず)に挿せ その子
現代語訳・・・(私とは違って)元気な人は畳薦(たたみこも)のような平群(へぐり)の山の、熊白檮(くまかし)の葉を髪にさしたりして、(楽しみなさい)
ヤマトタケル
はしけやし 我家(わぎへ)の方よ 雲居立ちくも
現代語訳・・・いとしい、我が家の方から雲が立ち登っていく
そして最後に
ヤマトタケル
嬢子(おとめ)の 床のべに わが置きし 剣(つるぎ)の太刀(たち) その太刀はや!
現代語訳・・・・ミヤズヒメの床に置いてきた草薙の太刀よ! ああ!あの太刀よ!
と絶唱して亡くなってしまいました。
ヤマトタケルは武器をもたずに伊吹山に登ったことを最後にとても後悔していたようです。
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クマソタケルの館にて(ヤマトタケルを題材にした中編小説です)