夏目漱石『それから』あらすじ|夏目漱石のおすすめ小説|前期三部作

借金の本当の理由は……?

代助は梅子に感謝の手紙を書くと、さっそく小切手をもって平岡の家に向かいます。

平岡の家に近づくと煙突が汚い煙を吐いていて、代助はそれを見て平岡と三千代の貧弱な暮らしを連想します。

平岡の家につくと、出てきたのは三千代でした。

平岡は不在です。

代助は灯りもつけない暗い部屋で三千代と二人きりになりました。

三千代によると平岡はまだ求職中でした。

しかしこの一週間はあまり外に出かけなくなったそうです。

平岡は疲れたと言って、よく家で寝ているとか……そうでなければ酒を飲みます。

そしてよく怒る。

さかんに人を罵倒するのだそうです。

代助は三千代に嫂からもらった二百円の小切手を渡します。

三千代は「平岡が喜びますわ」と礼を言って受け取ります。

代助が「もしこれで足りなければ高利貸しから借りる」と言うと三千代は止めます。

代助は三千代から借金の理由を聞きました。

三千代が産後病気がちになると、平岡は遊び歩くようになりました。
(おそらく芸者遊びですね)

だんだん遊び方が極端になり、すると三千代が心配で体が悪くなる、すると平岡はさらに遊ぶようになるという悪循環でした。

代助は三千代を慰めます。

結局代助が家を出るまえに平岡は戻ってきませんでした。

三日後平岡が代助を訪ねてきます。

平岡は新品の服を着てとてもハイカラです。

とても求職中とは思えない恰好でした。

平岡はこんなことを言います。

「当分仕事を探したって見つかりそうもない。当分遊び歩くか家で寝ているんだ」

そして大きな声をだして笑います。

借金のお礼はなかなか言いません。

やっと言ったと思ったら

――なに、君を煩わす煩わさないでもどうかなったんだが、彼奴あいつがあまり心配し過ぎて、つい君に迷惑を掛けて済まない」と冷淡な礼を云った。

それから、「僕も実は御礼に来た様なものだが、本当の御礼には、いずれ当人が出るだろうから」とまるで三千代と自分を別物にした言分であった。

人が金を貸してやったというのに、なかなか礼を言わない。

しかも、やっと礼を言ったと思ったら「別に借りなくてもよかったんだけどね。仕事はみつからないから、しばらく遊び歩くか家で寝ているつもりだ。ハハハハハ!」みたいな言い方なのです。

しかもこのお洒落な服装はおそらく代助が貸した金で揃えたものでしょう。

帰りがけに平岡は新聞社に就職口がありそうだと言います。

先ほどは当分就活してもダメそうだといったと思ったら、今度は就職口がある、と言うのです。

平岡の話は要領を欠いていましたが、代助は「それもよさそうだね」と適当に話を合わせました。

代助はかつては親友だった平岡と完全に心が離れてしまったことに気が付きます。

あれほどお互いに助け合っていた平岡に今の代助は嫌悪感を感じるのでした。

そしてなぜかつての自分は平岡と三千代を結婚させようとしたのだろうと思います。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14