谷崎潤一郎『人面疽』あらすじ 感想

あらすじ

アメリカ帰りの女優、歌川百合枝

歌川百合枝は、最近アメリカから日本に帰ってきたばかりの映画女優です。

百合枝は欧米の女優にも負けないぐらい、たっぷりした滑らかな肢体と、西洋流の嬌態に東洋風の清楚をプラスした美貌の持ち主。

また日本人女性には珍しいほど活発です。

かなり冒険的な撮影にも笑って従事するだけの、胆力と身軽さをもっていました。

アメリカの映画会社所属時代には女賊とか、毒婦とか、女探偵とか妖艶で、俊敏な動作を必要とする役を得意としていました。

「武士の娘」というタイトルの作品で、ヨーロッパとアジア大陸を股にかける女スパイを演じたこともあります。

アメリカの映画に登場する彼女は、しだいに日本でも注目されるようになりました。

そこで昨年、東京の映画会社「日東活動写真会社」の招聘を受けて、前例のない高給をもって迎えるという条件で、日本に戻ってきたのです。

続きを読む
こちらもおすすめ
谷崎潤一郎『鍵』あらすじ