『坊ちゃん』あらすじ 感想|夏目漱石のおすすめ小説

赤シャツ 野だいこ うらなり君 山嵐 個性的な先生たち

場面は変わり海の上となります。

汽船が止り、はしけがやってきました。

赤い褌を締めた男が漕いでいます。

坊ちゃんは野蛮な所だと思います。

沖から村を眺めて坊ちゃんの第一感想は「大森ぐらいの漁村だ」でした。

岸について通りかかった子供に中学校の場所を聞いても知らないといいます。

困っているとどこからか案内が来て宿に案内してくれました。

宿に荷物を預けると中学校に向かいます。

宿の近くの駅から電車に乗って5分で降りて、そこから人力車に乗って、中学校につきましたが、放課後で誰もいないのです。

仕方がないので今度は電車に乗らずに人力車で学校から宿屋に戻りました。

宿屋に戻り案内されたのは階段の下の狭くて暑い部屋。

もっとよい部屋を紹介しろと言ってもふさがっていると言います。

しかし風呂上りにほかの部屋を覗くともっと広くていい部屋ががらがらです。

どうやら茶代(チップ)を上げなかったことと、身なりがみすぼらしいために、こんな冷遇となったようです。

馬鹿にされたくない坊ちゃんは次の朝、宿の人にチップを沢山渡してから学校に出かけます。

登校中の生徒たちを見ると坊ちゃんより背が高くて強そうなのがいます。(当時の中学生の年齢は今でいえば高校生ぐらい、ちなみにみんな男子生徒です。中には大人顔負けの体格の生徒もいるのでしょう)

坊ちゃんはちょっと怖気づきます。

校長に挨拶に行きます。

校長は薄髭のある、色の黒い、目の大きな狸のような男。

やけにもったいぶった感じです。

校長は坊ちゃんに教育の精神について長々と語ります。

「生徒の模範になれ、一校の師表と仰がれなくてはいけない、学問以外に個人の徳化を及ぼさなくては教育者になれない……」

坊ちゃんはそんな偉い人が月給40円ではるばるこんな田舎にくるものか!と思います。

坊ちゃんが「到底あなたのおっしゃる通りにできそうにありません。僕は辞めます」と言います。

校長は驚いて「今のはただの理想である。あなたが希望通りにできないのは知っているから心配しなくてもいい」と笑います。

その後坊ちゃんは学校の先生一人一人に挨拶します。

坊ちゃんの職場となった中学校の先生を紹介しましょう。

坊ちゃんは先生たちにあだ名をつけたので、あだ名で紹介します。

赤シャツ

教頭、文学士。

女のような優しい声を出す。

暑いのにフランネルの赤いシャツを着ている。

彼は年がら年中赤いシャツを着ているらしい。

本人に言わせると、赤いシャツは健康によいかららしい。

野だいこ

画学教師。

赤シャツの腰ぎんちゃく、太鼓持ち。

坊ちゃんと同じく江戸っ子だけど下品で軽薄な感じで、坊ちゃんとしては一緒にされたくないと思っている。

「……でげす」という口調。

うらなり君

英語教師。

顔色が悪いが太っている。

あだ名の由来は昔、坊ちゃんの同級生の父親が彼と同じ顔色だった。

坊ちゃんが清にどうしてあんな顔色なんだ? と聞くと、清があの人はうらなりの唐茄子ばかり食べるから、蒼くふくれるんです、と教えてくれた。

それで彼のあだ名はうらなり。

士族の出の上品な大人しい人。

坊ちゃんに「君子」と言われる。

山嵐

坊ちゃんと同じく数学教師。

逞しい毬栗坊主で、叡山の悪僧というべき面構え。

数学の主任で坊ちゃんの上司。

以上、坊ちゃんの中学の先生たちの紹介でした。

皆とあいさつをすると、坊ちゃんのその日の仕事はもう終わり。

坊ちゃんは学校から出ると、町を歩きます。

小さな町ですぐに町の探索は終わってしまい宿に戻ります。

出かける時に奮発したチップが効いたのか、今までとはうって変った広い部屋に案内してもらえました。

いい部屋に通してもらっていい気分のぼっちゃんは清に手紙を書きます。

きのう着いた。
つまらん所だ。

十五畳の座敷に寝ている。

宿屋へ茶代を五円やった。

かみさんが頭を板の間へすりつけた。

夕べは寝られなかった。

清か笹飴を笹ごと食う夢を見た。

来年の夏は帰る。

今日学校へ行ってみんなにあだなをつけてやった。

校長は狸、教頭は赤シャツ、英語の教師はうらなり、数学は山嵐、画学はのだいこ。

今にいろいろなことをかいてやる。

さようなら

これでも坊ちゃんに言わせれば奮発して長いのを書いたのだとか……

手紙を書いてしまった後、いい気分で昼寝していると「この部屋かい?」という大きな声がして入ってきたのは数学の主任の山嵐でした。

授業の打ち合わせをした後、彼の紹介で下宿先が決まりました。

さっそく明日から移ることになりました。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12