谷崎潤一郎『細雪』あらすじ

板倉

山村舞のおさらい会の当日となりました。

かつら、衣装、化粧でいつもとは別人の妙子に幸子が驚いているところに写真屋がやってきます。

写真屋の名前は板倉といって27、8の青年でした。

「板倉写場」という芸術写真を標榜した小さなスタディオを経営している写真館の主人です。

彼はもともと奥畑商店の丁稚をしていました。
中学校もでていませんが、渡米してロスアンジェルスで5、6年間写真術を学んだ後、帰国して、奥畑商店の主人啓坊の兄に資金を出してもらったり得意先を紹介してもらったといいます。

啓坊も彼をひいきにしていたのですが、ちょうど妙子が自分の製作品を宣伝するために写真師を探していたので、啓坊の紹介でこの男に頼むようになりました。

それ以来妙子の製作品の写真は、パンフレット用のも絵葉書ようのも、板倉が一手で引き受けて撮影するようになったのでした。

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