谷崎潤一郎『少年』あらすじ

泥棒ごっこ

さて泥棒ごっこが始まりました。

栄ちゃんは信一と巡査になって泥棒の仙吉を追い掛け回します。

年上の仙吉はなかなかつかまりません。

二人はやっと高いところに登っている仙吉を見つけます。

信一が竹竿で仙吉をつっつくと、仙吉は「あいた、あいた」と言いながら降りてきました。

その後、信一と仙吉は尋問ごっこを始めます。

そして最後に拷問ごっことなります。

「まだ其の外にも人を殺したろう。よし、よし、云わないな。云わなければ拷問にかけてやる」

「もう此れだけでございますから、堪忍しておくんなさい」

信一は、手を合わせて拝むようにするのを耳にもかけず、素早く仙吉の締めて居る薄穢い浅黄の唐縮緬の兵児帯を解いて後手に縛り上げた上、其のあまりで両脚の踝くるぶしまで器用に括った。

それから仙吉の髪の毛を引っ張ったり、頬ぺたを摘まみ上げたり、眼瞼まぶたの裏の紅い処をひっくりかえして白眼を出させたり、耳朶みゝたぶや唇の端を掴んで振って見たり、芝居の子役か雛妓おしゃくの手のようなきゃしゃな青白い指先が狡猾に働いて、肌理きめの粗い黒く醜く肥えた仙吉の顔の筋肉は、ゴムのように面白く伸びたり縮んだりした。

それにあきると、信一は今度は「お前は罪人だから刺青してやる!」と言い出し、仙吉の額に木炭で絵を描きます。

栄ちゃんはガキ大将の仙吉が信一にいじめられている様子を間のあたりにします。